LONG-TERM TEST

「初体験」は2度来る:レクサスNX 長期テスト

J.ハイド レクサスNX200t Fスポーツ 2024.01.30

不満点の解消、そして初めてのアクシデントが続く

PFスタッフが実際に所有する車両についてリポートする「長期テスト」。

前回から少し間が空いてしまったが、その間にタイヤ交換、そして2つのアクシデントを短期間に経験する事となった。今回はその報告である。

一昨年の車検以来、懸案だった夏タイヤを7月の点検時に新しいものに換装した。銘柄はさまざまな検討の結果、純正のリプレイス品であるブリヂストンDUELER H/L 850 225/60R18 となり、正直なところあまり変わりはないだろうと考えていた。

しかし、実際に履き替えてみると、以前とは明快にフィーリングが違う事に驚かされる結果となった。
 
レクサスNX 200tはガソリン車なのだが、その美点の一つにハイブリッドかと間違われるような静粛性が上げられる。まずは、その静粛性がひと回り向上したように感じられたのだ。

また同じ空気圧にもかかわらず、横剛性も上がったようで、いつものコーナーでの安心感やふらつきが少なくなく思える。つまり結果として、走りの質感が大いに高まったのである。
 
ここまでは想定内なのだが、何よりも「良さ」を実感したのは、歩道から乗り上げる際、また反対に歩道から車道に降りた際の「横揺れ」が、格段に少なくなったことだ。
 
筆者にとって正直この横揺れが、NX t200の最も不満な欠点であり、今まで乗ってきたどのSUVよりも不快と感じていた。

もちろん空気圧も何度か調整したが、ユサユサユサと揺れは3回近くも続き、収まらなかったのだ。Fスポーツのグレードに標準装備されているというパフォーマンスダンパーの効果も疑う有様であった。
 
それが、少なくとも不快である横方向の揺り返しがほぼ1回半から2回で収束するようになった。その事から、やはりタイヤの劣化は溝だけでなく経年による全体剛性の低下も無視できないと思った次第である。
 
タイヤを交換と同じぐらいに走行距離も登録から3万キロを超え、自分がオーナーとなってからは、その内の3分の2を消化している。この間に鈴鹿サーキットへの遠征など、疲れない長距離ツアラーとして、あるいは膨大な積載量のおかげで撮影機材車としても重宝する中で、非常に快適に過ごしていた。
 
しかし、そんな快調、快適ゆえに気の緩みから、アクシデントは忍びよるものである。

photo: J.ハイド 記事中のアクシデントによる助手席側のドアの傷。この他にも影響はドアノブに及びんだ。パネルは板金再塗装、ドアノブはセンサーの不具合を防ぐため新品交換となった。

2度続いた、左の死角

最初のアクシデントは10月上旬に、渋谷での知人の個展に寄った帰りだった。真っ暗な脇道のコインパーキングから出る際に、助手席側のドアを、突き出ていたコンクリート壁の角に巻き込むように接触させてしまったのだ。
 
元々、非常に狭い路地だったので1回では曲がりきれず、切り返して2回目で出ようとした矢先だった。異常を感じて車を降りて確認すると、センサーが効かない横腹に10本もの擦り傷が深く入っている。浅いものは俗にいう十円玉パンチみたいだが、深いものはもはや、抉れ(えぐれ)と言えるものだった。
 
帰宅して自損事故でも保険は使えるが、その後の等級ダウンによる保険金額のアップを冷静に考えた。結果、リーズナブルな板金修理にトライしてみようと思い、翌朝から比較的自宅に近い数件に電話をした。

その中で今回はジャパンリペアリング株式会社が運営する板金修理サービス「ピッカーズ」の「ピッカーズ Dr.Drive川崎産業道路店」に、目星をつけたのである。後日ディーラーのサービスからは自社で修理を実施する場合の半額以下だろうと言われたので、選択はあながち間違いではなかったと思われる。

訪問時に傷の状況を見てから告げられたのは、ドアパネルの交換はせずにあくまで板金塗装の処置で対応できるという。その一方で、タッチセンサーが入っているドアハンドルと板金では修復できない下部の黒いサイドモールは交換。さらにボデイ全体のコーティングを含めて税込14万程度の見積もりであった。加えてこの店舗では作業期間中の代車も手配してもらえる。

メタリックが微妙なので色合わせは慎重に行なってほしいと要望を出したが、それを踏まえても月曜に入庫して金曜日には引き渡し可能との事だったので、その場で契約した。ただし工場が混んでいるためそれから1ヶ月後の施工となった。

施工期間中は、2代目のトヨタ・パッソに乗ることになったが、実用車としては全く不備のない事に同社の底力を見ることにもなった。動力性能や静粛性はクラスなりだが、小型で最小回転半径が4.3mと小さく、今や希少なフロントベンチシートなど、都内近郊で気軽に乗る車としては十分ではないか?と思った次第である。

さて、相前後するが助手席側のドアを損傷してから1週間後に、今度は左リアのタイヤとホイルを自宅マンションの駐車場の出入りで傷つけることとなる。弁解にすぎないが、これも夜間に駐車場の出口に他の車が居座っていたため、いつもの軌道より内側に寄った結果であった。

接触を感じて、車を降りて見てみると、その部分も縁石がご丁寧に直角に張り出しているのだ。結果、かつて経験したことのないタイヤのサイドウオールによるパンクで、空気が音を立てて盛大に漏れ始めている。

この状態ではガソリンスタンドで行う通常のパンク修理や修理剤も効かず、翌日、保険会社が手配したレッカー車でディーラー入庫となった。ホイルも相応に傷ついため新品タイヤと合わせた交換料は、約10万円を超える事と相なった。

photo:J.ハイド ロケハンで訪れた富津海水浴場。11月は午後3時頃から斜光、そして逆光のマジックアワーが訪れる。遠景であればドアの傷はほとんど分からない。

思わぬ保険の効用

こちらは緊急事態で仕事上すぐにクルマも必要だったため、初日は自分でレンタカーを手配し、他の2日間は保険会社からレンタカーの手配となった。その時に初めて知ったのは、修理費などの自損分を保険で支払うと保険等級に響くが、レッカー車やレンタカーなどの特約は契約内容に含まれていれば全く等級には響かないということだった。

今まで40年以上の運転歴にして自損事故も初めてだが、保険特約の利用も初めてだったのでこれは思わぬ社会勉強?であった。

その後、「ピッカーズ Dr.Drive 川崎産業道路店」での板金修理も無事に終え、心配したメタリックの色ずれも全く分からない。加えて全体コーテイングのためか、2022年1月当時の納車時の輝きを取り戻している。

以上、短期的に2つのアクシデントと痛い出費を経たが、結果として2023年の12月現在、愛車のレクサスNXt200 Fスポーツは外観も機関も絶好調なのである。もちろん、冬の期間はスタッドレスに履き替えている。

さて、次回はこの記事の終盤にふさわしい内容でお送りしたいと思う。いわゆる新旧NXの比較レポートである。
 

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