PF DIARY

200円足らずで買った、私の毎日に欠かせないグラス

田中 誠司 イケア・イーヴリッグ 2022.05.25

同じ商品なのに4割も……

何年も大事に、しかし毎日使っているビアグラスがある。うすはりの高級品とか、ステンレスの断熱効果のあるものとかではなく、イケアで200円で売られているイーヴリッグという、そもそもはワイングラスとしてデザインされたものだ。

450mlというサイズゆえ、350ccのビールをちょっと急ぎ目に注いだとしてもちょうど収まり切ってしまう。

もともとワイングラスだから、香りの立ち方がよくて、ガラスの厚みもちょうどいい。厚いガラスはビールをぬるくしてしまうし、あまりにも薄いガラスだと割れやすくて扱いに気を遣うからだ。

実際、何度となく落としたりしたこともあって、そのたびに生き残ってきたのだが、当初ふたつあったうちのひとつを粉砕してしまい、何年も経ってからイケアに行って買い足した。

写真奥の、ちょっと黄ばんでいるのが「オリジナル」である。手前の、クリアな色が現行モデル。全体の形状は同じだ。

あれえ、こんなに分厚かったっけな。飲み口のところも新型には明確な縁がある。

ビールを注いでみると、その差歴然。手に伝わる冷たさも、縁から口へ流れ込んでくる感触も違う。

重さも明らかに異なる。試しにキッチンのメーターで計ってみたら、旧型は135.5グラム、新型は188.5グラムなのだった。カタチは同じで、4割も重くなっているのだ。

イケアの売りは耐久性だし、ああいったセルフ・サービスの店舗で割れ物の歩留まりが悪いのはオペレーション上も大変だろうから、デザインを保ったまま商品に改良を重ねた結果が大幅増量ということなのだろう。

しかしビールの味は、黄ばんだ旧型のほうがあきらかにいい。

ほかにも、それこそ1万円近くするステンレスのビアマグとかが手元はあるのだが、鉄っぽい臭いが気になるのと、容量が中途半端なのが気に入らない。毎日、欲望の赴くままに一瞬で350ccを流し込むには、この古いイケアこそが最適なのだ。

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