日常で乗るマクラーレン #08:4回目の車検費用とその内訳
マクラーレンMP4-12C 2013年式 購入:2017年5月 購入時走行距離 11,500 km 現在走行距離 39,867km 燃費7.6km/ℓ
橋本誠一 マクラーレンMP4-12C 2026.02.11
4回目の車検は人間ドックの心境
早いもので3回目の車検からあっという間に2年が過ぎてしまった。歳をとるにつれ、時間が加速してゆくというのは本当だなぁと実感する。前回はバッテリー上がりと同時だったので費用が嵩んだが、現状では体感的な不調はない。とはいえ、このマクラーレンMP4-12Cも年を重ね、WEB上を調べればトラブルなどの記事はいくつかヒットする。
そんなものを見てしまうと嫌でも予備知識として記憶をしてしまうもので、そろそろこの辺か、それともあそこか?などと身構えてしまう。とはいえ、 #06の記事で報告した冷却水漏れの後は何事もなく快調に走り続けてきた。
しかし点検をしてみないとなんとも言えない。ラインオフから13年目、人間でいえば中年はとっくに過ぎている筈なのだから。ひとつだけ、エアコン操作時にCALLワーニングが出て少しすると消えるという症状が稀に出るが、大した事はない。大きな出費にならぬように。と願いつつ、いつものマクラーレン有明に車を預けた。
車検見積もりは200万円オーバー
今回もまた想像を大きく超える見積もり金額となった。最も高額なのはフロントサスペンションの主要部品「ASSY - ACTUATOR-FRONT-TENNECO」などで、部品代700,000円に工賃350,000円を加え、合計1,050,000円。その他、ステアリングコラム交換約200,000円、右ドライブシャフトからのオイル漏れ修理約200,000円、シートベルトバックル交換約50,000円、その他諸々で工賃・消費税込み価格は¥2,021,904。なかなかの金額である。インポートカーでは予防的に部品交換を勧められる箇所も多く、見積もりが高額になるのはよくある話だ。
検討したところ、ステアリングコラム不具合はすぐに手をつけるか微妙なレベルであるためカット、フロントサスペンションもまだ問題なさそうなので今回は見送ることにした。富裕層であればすぐに交換を選ぶだろうが私にはそこまでの余裕はない。これらを今回の対象から外し、通常の車検整備や消耗品交換に加えて「右ドライブシャフトからのオイル漏れ修理」「シートベルトバックル交換」などを依頼し、合計金額は税込で720,000円。結果的には前回車検よりも大きな金額となった。入庫期間はおよそ90日だった。
ディーラーで車検に出す際には、純正補修部品の供給が確保されているかどうかも重要な問題だ。メーカーが用意する補修部品の在庫に法的な拘束力はほとんどなく、そもそも台数の少ない車種は部品の製造絶対数も少ないだろう。特に樹脂部品などはストック品も経年劣化する。
長期的なメンテナンスを考えた場合、マクラーレンのような少量生産メーカー車では、メルセデスやBMW、ポルシェでは探せる社外部品、いわゆる「互換品」などを選べないのもネックとなる。
そして非常識な想像をしてみる
プロアクティブシャシーの部品が欠品し修理不能になった場合どうするのか?例えば、同じマクラーレンの540Cのコンベンショナルなサスペンションを移植できないのか?あるいはGT3などのレース車両用の部品を流用できないのか?
パワートレインにしても自社製ユニットにこだわらず、F1黄金時代に思いを馳せてHONDAエンジンに換装するのはどうだろう?などと実現不可能と思える夢想もしてしまう。オリジナルを尊重する正統派の方々から怒られそうだが、世の中にはアメリカンV8を積んだ911や13Bペリの ケイターハム、RB26を押し込んだサニトラなど、常軌を逸したエンジンスワップは星の数ほど存在する。
コードネームP11と呼ばれたMP4-12Cのプロトタイプであろうリーク画像が初めて世に出たのはイギリスの雑誌「Car」だったと記憶しているが、パワーユニットの予想はメルセデス、あるいはBMWエンジンだった。
しかし私は雑誌の記事を読みながら心の中で、HONDAエンジンの採用を夢見ていた。セナが活躍したマールボロカラーのマクラーレンHONDA(MP4/4~MP4/7)には特別な感情があるからだ。鈴鹿での走りと官能的なHONDAサウンドは現地で何度も観戦し体感しており、記憶に深く刻まれている。
現実問題として、
いつまで乗るのか?
2年後に訪れる5回目の車検までこの車を所有しているかは分からないが、乗り続ける場合はそろそろ覚悟を決めてリフレッシュの時期だろう。まだまだパーツの欠品などは無いと信じているが流通台数が少ない車種だけに油断は出来ないと思う。
走ることが出来ないほどのトラブルなどで大きな出費になれば、乗り換えを選択するかもしれないが、いざその時になってみないと分からない。クルマへの思い入れが、その時点でどれほど強いかが分かれ道になるだろう。
私の場合の思い入れというのは、ルックスは勿論だが、やはり乗って愉しめるか?という部分が一番だ。もちろん、ナンバーを切ってしまい保有するコレクターの方々の事も否定はしないが、色々な制約があって自分には夢の話だ。
そして、若くない自分にとって、このパフォーマンスを自分が何歳まで愉しんで乗れるか?という話になる。クルマが動けなくなる心配よりも、自分の身体の様々な能力低下を現実的に考えなくてはならない時期が近づいてくる。
しかしそうした覚悟を身構えつつ、もう少しこのままでいたいと思うのがクルマ好きの性。現在のマクラーレンラインナップは勿論とても魅力的だし、世界には素晴らしいクルマ、乗りたいクルマはたくさんある。
しかし、やはりこのMP4-12Cの飾らない純粋なデザインとパフォーマンス、そして何より自分のクルマへの愛情が全く色褪せていないと感じるから、2026年の現時点では手放す想像が出来ないというのが正直なところ。クルマも自分も健康に気をつけて日々を過ごして行こうと思う。