ちょっと変だけど、毎日がちょっと豊かになる ― YUの「愛車のある暮らし」#05
YU アルファ・ロメオ・スパイダー 2023.01.20
私とクルマとの出会い。
あけましておめでとうございます。
本年も、私なりに、ゆるく、つれづれなるままに。どうぞよろしくお願いいたします。これまでのエピソードではバイクについて語ってきましたが、今回はクルマについて。
過去動画ですが、あけおめドライブvlogです。
車とは便利な乗り物。
そう、教わって育った幼少時代。
家にあった車といえば、売れない陶芸家の父が自分の作品をめいいっぱい詰め込んで全国行脚の営業(という名のさすらいの旅人)に使用していた老いぼれのファーゴ。
母の仕事用と買い物用で使用していた軽自動車のダイハツ・ムーヴ。将来は私もムーヴに乗るんだろうなぁと漠然と思っていたら、「お前が乗ると保険料が高くなる」と一蹴。それはもうあっけなく。つまり自分のものを買いなさいということだった。
そういえば教習所へ通う費用は、妹の場合は親が出してくれてたが、私は学生時代のパン屋でのアルバイト代からなんとか工面する。長女はつらいよ。まだ社会人1年目の私には大学の奨学金もドンとあった。ニコニコしてても、逆立ちしても、自分の車なんて買えっこないな、と思ってた。
スポーツ少女からの転身
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私の場合、よくある幼少期からミニカーで遊ぶような車好きとかではなく、大人になってから魅力に気づいた遅咲きの車好きである。病名をつけるとすれば、後天性車酔狂症候群だ。
学生時代はとにかく部活動が厳しかったのでそれどころではなく、引退してようやく打ち込むものがなくなった反動でバイクとクルマに興味を持つようになった。ひとりでも自分の思うがままにどこへだって走りにいける。乗り物ってなんて素敵なんだろう……と感動したのを昨日のように覚えている。
当時から全国大会や強化合宿でいろんな所に遠征に行くのが好きだったが、今思えば「移動欲」のようなものがあるかもしれない。上からみれば小さなところでグルグルしているだけかもしれないが、ずっと同じところにとどまるのは、恐怖にも似た何かを感じる時がある。人間として生まれたなら、死ぬまでいろんな世界を見てみたいと思う。
天候や服装に左右されずに移動できる"クルマ"があったら世界が少し変わるかも。知識はないが熱意と運動神経においては自信があるというおてんば娘タイプの私は、中身のことなどよく知りもせずに情熱のイタリアンカー、アルファ・ロメオを買ってしまった。(親二人を見習ってまともな車を買えば良いものの……)
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パッスィオーネ!
その車はひと目見た瞬間に、恋に落ちたみたいだった。アルファ・ロメオ・スパイダー(2代目/916)。"スパイダー"とは蜘蛛という意味だが地面を這うように走り回るイタリア車のカブリオレの代名詞。アルファのスパイダーは息の長いモデルで、1966年から製造されており私のはざっくりいうと2代目モデルで、デザインはピニンファリーナの当時の開発責任者であるエンリコ・フミア氏の作品だ。
イタリアらしい流線的なフォルムに、ウーパールーパーみたいなつぶらな瞳。インターネットの販売サイトではじめて見つけたそれは安城のヴィスコンティというお店にあるらしく、すぐに現車を確認しに向かった。エレガントで可愛いのに、なんと安いじゃないか! ドライバーズシートに座った瞬間に、"あ、コレだ"と購入を決めた。
一応試乗もしなくてはと思い、エンジンを始動させる。幌を閉めているとはいえ、オープンカーゆえに排気音が背中から包み込んでくる。自然吸気の親しみやすいリズムで、コクッと素直に動くシフトフィールが何とも心地よい。ツインスパーク・エンジンは軽くてコーナーもスパッと切り込める。とても速いわけではないが、市街地でも躊躇なくアクセルを踏めるのが私にとってちょうど良かった。私の一挙手一投足がこのクルマの走りだと思った。
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私のファーストカーは今にも壊れそうだが、シフトレバーをガチャガチャと愉しく動かし回すクルマになった。(ごめんなさい。お父さん、お母さん。)
壊れても直せばいい。カタチあるもの、いずれは壊れることをよく知っている。父の器もヒビが入れば金繕いで補修する。そうすると不思議と前よりも愛着が湧き、ますます愛おしく思えたりするものだ。
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人間だって、ときどき病院のお世話になったりする。なのにクルマには完璧を求めるなんて、虫のいい話だ。
初めてのクルマはアルファ・ロメオでした。
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