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週末の銀座に憩える、穴場のミュージアム発見

田中 誠司 アートアクアリウム美術館GINZA 2023.01.27

コロナ禍はいまだにわれわれの暮らしに大きな影を落としているけれども、週末の東京・銀座は多くの人々がマスクをしているのを除けば、以前と変わらない賑わいを取り戻しているようだ。

百貨店のセールを冷やかしたあと、人混みから逃れたいと思っても、どこへ向かったところで混んでいて落ち着く暇もない。

満席のカフェで、行く場所はないものかとスマホを操ってみると、三越銀座店の9階にある「アートアクアリウム美術館GINZA」のチケットが当日でも手に入ることを発見した。

銀座万灯籠。
金魚の回廊。白い光のもとで金魚の身体は紅白に彩られるが、緑や赤では光の色に支配される。

このミュージアムの主役は「金魚」と「光」だ。さまざまな種類の金魚がおよぐ水槽をアートの素材として、多彩な演出が加えられている。

色とりどりの水槽のなかで、金魚は優雅に舞う。半透明な身体と、それよりも大きなひれをゆったりと振るその姿は、まるで天使のようだ。

金魚たちのアトランダムな動きによって描かれるグラフィックが、アーティスティックな刺激を誘う。自分がその瞬間を切り取ったとて、大した意味がないのはわかっていても、ついつい繰り返しシャッターを切ってしまう。

24台の水槽からなる「新金魚品評」。

時間を忘れて楽しむことができるのは、週末の銀座にもかかわらず館内が空いているからだ。アートアクアリウム自体はすでに40回以上開催されている国際的に有名な展覧会だが、2020年に常設展を日本橋に開設したあと、2022年5月に銀座に移転して、概ね来客も落ち着いているのだろう。まだ海外からの訪問者が完全には戻っていないのも理由のひとつかもしれない。

入場料はおとな2,300円。安くはないけれども、銀座での週末をさらに華やかにしてくれるのは間違いない。

帰りに本当はお寿司を食べて帰ろうと思っていたのだが、憚られて、別のお店にすることにした。

上:オリガミウム。左下:金魚の竹林。右下:提灯リウム。
上:華道家・仮屋崎省吾氏による「フラワーリウム」。下:風月堂や資生堂パーラーなど、有名菓子店とコラボしたおみやげも楽しい。

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