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ロイヤルエンフィールドの新作「ハンター350」の愉しみとは

田中 誠司 ロイヤルエンフィールド ハンター350 2023.03.15

ロイヤルエンフィールドの新作、「ハンター350」を東京都心において短時間だが走らせる機会を得た。

英国発祥のインド・メーカーであり、ミドルクラス・モーターサイクルで世界をリードするロイヤルエンフィールドは、日本でも販売・マーケティングを強化している。2023年からJAIA(日本自動車輸入組合)に加盟、1月度の販売台数は輸入モーターサイクルで4位にランクインした。全国各地の販売店とライダーをつなぐツーリング・イベント“Ride”や、ホットロッドショー、モーターサイクルショーへの積極的な出品で消費者にアプローチしている。

2022年の8月にインドでローンチしたハンター350は、すでに半年で10万台を受注する人気モデルとなっている。

モチーフとなったのは1950年に登場した「フューリー」というモデルで、ロイヤルエンフィールドの中でも俊敏、軽量、フレキシブル、タウンユースをテーマにした軽快なモデルだった。ハンター350は「メテオ350」「クラシック350」と同様、J1プラットフォームという技術基盤のうえに設計されているが、フレームをよりコンパクトにしてフロントフォークの傾斜を少なくするなどジオメトリーを刷新、タイヤ径も17インチに抑えてより小回りが利く設定としている。エンジンはほかの350ccと基本は同一ながら燃料噴射の設定等を微調整。マフラーも軽くてコンパクトなものとし、車体重心の低減を図っている。

定評ある350ccモデルの技術を受け継ぎながら、シャシー、ジオメトリー、スタイルを刷新したのがハンター350だとロイヤルエンフィールドは説明する。

「がっしり」の上にある「ひらひら」

跨った第一印象として、足つき性やポジションはクラシック350と大きな差はないように感じた。いっぽうで、サイドスタンドがかかった状態から引き起こそうとするときに感じる重さがかなり違う。それもそのはず、ホイールなど大物部品にアルミを採用し、フレームもコンパクト化したハンター350は、クラシック350より18kgも軽いのだ。

オーソドックスなスタイリングらしく、ライディングポジションをとるといきなりぴったりくる。デジタルモデリングを活用して快適性に配慮したというシートの厚みもしっかりしている。

スタートさせるとエンジンの極低速のトルクはそこそこだが、爆発の息吹を伝えるパルスとともにいい感じのシングル・サウンドが発せられ、それとともにトルクが豊かになっていく。振動の高まりとともにトルクは収束し、やがてレブリミッターが作動。1速では50km/h少々までしか引っ張れないが、そこまでブン回す必要もないだろう。ミドルバンドよりも少し抑え目の回転数に保てば振動なく、クルージングも快適にこなせる。ホンダGB350やヤマハSR400など、筆者が最近経験したシングルの他車種と比較すると、ロイヤルエンフィールドの350ccエンジンが発する低回転の鼓動感は一歩上を行っている。

街中の交差点を次々にクリアしていくスピードにおいて、とにかくひらひらと舞うような軽さを披露する。その一方で、現代のバイクらしくフレームやサスペンションの感触はがっしりしていて頼りがいがある。そもそも、しっかりした軸が定まっていないと可動部分のひらひら感というのは生まれないのが機械の常だ。「がっしり」の上にある「ひらひら」がこのハンター350の特徴だ。

軽さ、しっかり感、現代の技術、比較的低廉な価格設定、そして主張しすぎないけれどファッショナブルなデザイン。モーターサイクルのプリミティブな魅力を、何にも邪魔されずに味わうことのできる、良い意味でイージーな選択肢と言える。

ハンター350日本仕様には2つの塗装スキームそれぞれに3種のカラーリング、計6種が用意される。

価格はいずれも3年のメーカー保証と消費税を含む、「ダッパー」が65万7800円、「レベル」が66万4400円である。

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