STORY

Golf Caddyキャンパー自作に至るまでの履歴書(後編) Der FREIRAUM デアフライラウム “自由な余白” ♯15

著者紹介(今ごろ!?)

横川謙司 フォルクスワーゲン・ゴルフ 2023.06.18

輸出業者が現れずオーストリアに置き去りにしてきた(ヨーゼフの博物館に預かってもらった)Caddy、今はコンテナ船に載って、日本までは2ヶ月ほどの航海になるようです。その間に……という訳でもないですが、キャンパー計画ばかり語り続けて来た私の、ここまでのGolfへの入れ込みっぷりについて、読者の皆さまにご説明しておこうかと思い、少し書かせていただいております。後編はミニチュア編です。

ミニカーコレクション

実車でGolfの思想や歴史に触れていると、自然とミニチュアカーにも目が行きます。最初の一台は、写真の黒いGolf Ⅱ。仕事仲間が「ウチに要らないゴルフのミニカーあるよ」と言ってくれたものです。「スーパーカーでもない、ただのGolfのミニカーなんてあるんだ!」と火が点き、まだネットオークションもない頃は、それこそ日本全国のオモチャ屋さんから海外渡航先の模型店、フリーマーケットなどあらゆる場所で探し求め、少しずつその数が増えていきました。

やはりGolfが一番多いですが、Polo、Scirocco、Passatなど他の水冷エンジンモデルもひと通りあります。ミニチュアカーに関しては、私は水冷エンジン搭載モデル、1970年以降の車種に絞って集めております。

自宅のコレクションルーム“ミニカー博物室”。床に立っている丸い筒は小学校の教室にあったあの懐かしい石油ストーブ……ではない。

完成品のミニカーをはじめ、当然プラモデルも探し回り、その他、お菓子のパッケージから実車のモックアップまで、Golfの形をしていれば何でも収集、その様子を知った友人が海外赴任先で買ってきてくれたり、雑誌の編集部からいただいたり、色んなルートでじわじわ増えていまや5500台ほどに。そして、自分や友人の愛車仕様に改造したり、ハッチバックからカブリオレに改造したりと「ないものは作る」という愉しみにも目覚めました。

ローテンブルクの街角をモチーフに製作したジオラマ。路駐し放題。

創作意欲はクルマのみならず、それを「路駐」するための街角のジオラマにも広がりました。写真のジオラマは、中世の面影を残すローテンブルクの街角をモチーフにしています。好きなVWを停め放題です。

あの象徴的な建物を1/87スケールで

ある時ドイツの本社工場の脇に立つ象徴的な建物、Autoturm(カータワー)の模型を作ろうと思い立ちました。見た目のかっこよさに加え、400台収容できる実用性も魅力で1/87スケールで製作しました。

自作Autoturmは電飾付き。スペース効率に優れたコレクションケースになっている。

資料によるとワンフロア20台×20階建て、で合計400台。なのですが、タワーの写真を何度数えても19階分しかありません。その謎を解くために現地まで見に行ったりもしました。そこで分かったのは、見えない地下一階部分の存在。ヴァナゴンなどハイルーフの商用車もOKの、高さ方向に余裕があるスペースが地下に確保されていたのです(タワー内に入れるサービスが始まったのはその数年後でした)。

タワー内部。車両(ミニカー)を収納するためのパレットは上下に可動する。

そんなこんなで組み立てたタワーのミニチュアは、フォルクスワーゲンの公式イベントや新車のプレス発表会、ディーラーでの展示などにお声がけいただき、多くの方の目に触れる機会に恵まれました。

そこから時は流れ、テクノロジーが飛躍的に進化して3DCADや3Dプリント、レーザーカッターなどが工作道具に加わり、色々なモノを綺麗に作れるようになって今日に至ります。

VWビートルの工具箱を模したチョコ缶があるとなればそれもコレクション対象。3Dプリンターで作った工具を添えて。

何年か前からバレンタイン用にMorozoffさんが商品化している、VW純正工具箱を模した缶入りチョコがあります。実物は、空冷時代の車載工具としてビートルの鼻先に収まるようになっていましたが、これ、チョコ食べ終わったら当然再現したくなりますよね、ミニチュア工具箱として。で、レンチやドライバーを3Dプリントで作りました。実車からミニカー、その周辺のアイテムにまで興味は広がり、止まることを知りません。

そんな経緯で、キャンピングカーも自作できるのではないか、という錯覚に陥りベース車の輸入に踏み切ったワケです。

人生を豊かにしてくれるVW

Golf趣味のおかげで、ドイツ語も勉強しました。大学で履修していたら嫌いになる難しさですが、レアなミニカーやパーツ入手の時に役立っています。ドイツでレンタカー借りる時、事前にGolfを指定しておいてもたいてい別の車種が出てくるんですが、「私はVW好きで、GolfでAutobahnを走ってWolfsburgへ行くのが夢なのだ。」と拙いドイツ語で訴えると「ちょっと待ってろ」といって親身になってくれるのです。

たまたま手に入れたGolf、30年も飽きることもなく、ここまで人生を豊かにしてくれるとは。派手さはありませんけど、魔性のクルマと言って良いでしょう。

ニュージーランド・レンタカーの旅。(左)Type2レイトバスのWestfaliaキャンパー。(右) T4 のReimoキャンパー。

どこでも”VWで旅したい”私は、この春、なんとか貸し出しているところを見つけ出して、VWキャンパーでニュージーランドを旅してきました。T4 VanagonとType2 Busの旅は、走ってるだけで笑顔になる素晴らしい体験でした。

GolfそしてVWというブランドを通して出会った多くの世界、趣味を通じて広がった人のご縁はなにものにも代えられません。このように連載の機会もいただけましたし。Golfと走りつづけて、私はどこまで行くのでしょう……。おかげさまで、愉しませてもらっています。

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