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ラ・カロッツェリア・イタリアーナ ’77”:伊東和彦の写真帳_私的クルマ書き残し:#33

伊東和彦 2025.06.20

第3回 ベルトーネに魅了される

引き続いて、1977年7月16〜24日に東京・晴海の東京国際見本市会場で催された、『日伊デザイン交流協会』主催の“ラ・カロッツェリア・イタリアーナ ’77”の話題だ。今回は、市販車のX1/9を含めて7台を展示したベルトーネのクルマを紹介してみた。

次第に傾斜が強くなる展示台に並んだ3台のベルトーネ・コンセプトカー。手前から1976年ジュネーヴ・ショー発表のナヴァーホ(後述)。1976年トリノで公開されたレーンボー。1974年ブラーボ。レーンボーはフェラーリ308GTBがベース。対してブラーボはランボルギーニP300ウラッコがベースだ。

毎回、同じ前口上になって恐縮だが、画質についてはご容赦いただきたい。会場を訪れたのは撮影が目的ではなく、自動車専門誌の誌面でしか見たことのない、華やかなショーカーの現物を見るためであり、その合間の記録としての素人写真であるためクオリティは低い。記録メモの範疇だからだ。雑誌の誌面で見ていたとはいえ、カラーページに掲載されていたのは一部に過ぎず、多くはモノクロであったから、想像していたのとは違って見えたクルマもあり、それがとても新鮮だった記憶がある。

現物を見る機会は2度とないだろうからと、当時の私にはめずらしく奮発して、すべてASA100のカラー・ネガフィルムでの撮影だった。この連載に当たっては簡易的なスキャナーでデータしてみた。

1976年のナヴァーホは12気筒エンジン搭載のアルファ・ロメオT33のシャシーを用いている。
レーンボーのサイドビュー。ベースがフェラーリ308GTBと知ったが、コクピットからリアホイールまでの寸法が長いことから、「308ディーノかも」とその場でフェラーリ通のI君と話した記憶が蘇った。ホイールのスポークが2本なことにも驚いた。
1973年Roトラペーゼ。2ローター型ロータリーエンジン搭載の前輪駆動車、NSU Ro80のコンポーネンツを用いたサルーン。コンパクトなREの特徴をいかしてミドシップレイアウトとしながら、REの両側に後席を設けている。ドアが開いていたので、なんとか後席を見ようとしたが果たせなかった。
1966年トリノ・ショーで発表されたラナバウト。アウトビアンキA112の前輪駆動パワーユニットを搭載。1960年には私は自動車専門誌を読んでおらず、会場内に説明がなかったので歯痒かった。とても興味をいだいたのだが……。
1972年ジュネーヴ・ショー公開のカマルグ。空冷水平対向4気筒前輪駆動のシトロエンGSがベース。
1967年ジュネーヴ・ショーでの公開となったマルツァル。ランボルギーニのV12エンジンの片バンク、DOHC直列6気筒2ℓをミドシップに搭載して4座サルーン。V12エンジンをフロントに搭載してエスパーダでこのスタイリングが具体化された。ベルトーネが持ち込んだクルマの中で最も製作年が古かったが、当時、たまたま見たエスパーダに魅了されていた私は飽きずに見ていた。

写真をご覧になって気がつかれたと思うが、広い見本市会場内の観覧者の数は、私が訪れた休日でもこの程度であった。事前の告知が充分でなかったのか、企画自体に大きな集客力がなかったのかは分からないが、1977年のこの1回だけで終わってしまったことから、成功とは言えなかったのだろう。あるいは、企画自体の意図が世の中よりだいぶ先を走っていたのかもしれない。

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