STORY

Der FREIRAUM デアフライラウム “自由な余白”♯10

前回製作した1/5模型のリブ(骨格)に、ボディの外板を貼りました。

横川 謙司 フォルクスワーゲン・ゴルフ 2023.02.04

妄想力で突き進んでおります。

前回は、MDF(木の粉を固めた成形板)を切り抜いて1/5スケールCaddyのリブ(骨格)を作りました。今回は、そこにボディの外板を貼っていきます。外板もMDFです。実車になったときの強度や耐久性を検討しつつ進めていきました。

ボディ外板を貼るにあたっては、ダッシュボードやシートなどのインテリアはひとまず省略。ウインドウ類もくり抜かず、縮尺の正確さとボディの緩やかな丸みの再現を目指します。イタリアのカロッツェリアが、リブに被せたアルミ板からふくよかなボディラインを叩き出している写真をご覧になったことがあるかと思います。あんな感じで、リブに這わせるように1mm厚の板を貼り付けます。ボディ表面がカーブしているため、外板の寸法は三面図より一回り大きくなります。

画用紙で試作中。荷台にリアルなタイヤが見えている。

まずは画用紙を当てておよその寸法を出し、レーザーカットのデータを微修正。自然な面のつながりを求めて分割されたパネル部品は、結果的に実車のボディパネル分割と同じになったのが面白い。だんだん自動車らしくなっていく様が楽しく、ホンモノも作れそうな気がしてくるのが危険です。

リブ構造にした甲斐あって、ボディ裾の絞り込みが上手く表現出来て「ゴルフらしさ」が出たと自画自賛。タイヤは、友人が業務用のすごい3Dプリンタで造形してくれました。トレッドパターンまでバッチリです。

荷台部分まで形になったところで、搭載するキャンパーシェルの骨を組んでいきます。構造物として理に適った耐久性のあるモノにすべく、試行錯誤の連続です。実際の1/1では、シェルボディは強化プラスチック、いわゆるFRPで作ることになるのですが、ルーフ部分をポップアップにしたいがために、一体構造の場合よりも強度が必要になります(一目惚れした写真のキャンパーがその構造だし、走行中の空気抵抗も小さそうだし、何よりトランスフォームってカッコいいし.....)。

キャンパーシェルのリブ組み立て。ベースのGOLF Caddyに対してかなり大柄で、単体での強度が必要なことがわかる。

FRPを厚くすれば良いのか、金属フレームが必要なのか.....技術系の友人達から多大なアドバイスをもらって、とりあえず「補強用のスチールフレーム有り」で検証しております。カゴ状のスチールフレームにボディ外板を貼った部材が吊り下がるようなイメージ。ベース車が初代ゴルフなので重量はあまり重く出来ず、さりとて風圧で壊れたら目も当てられない.....と、「軽量かつ強靭に」という課題に直面している素人です。張り出しているバンクベッドの部分は、ベース車の屋根が支えているのか、自らの強度でもっているのか.....少ない資料写真からは自立しているように見え、分解して構造を見たい衝動に駆られます。

1/5模型製作の目的は全体像の把握と強度の検証だが、ちょっと寄り道。

しかしどうでしょう、未完成ながら1/5 スケールのCaddy に被せた姿にテンション上がります。構造を詰める前にギャレーの使い勝手も気になり、ちょっと寄り道してシンクとか冷蔵庫など作ってみたり。

基本的な骨が組めたところで、いよいよルーフの開閉機構に着手。キャンピングカーショーや、ポップアップ付きのキャンパーを持っている友人の実物を観察し、実際に手に入る実車パーツの寸法を1/5にしてヒンジを作成。模型でも強度が要りそうなので、ホームセンターに売っているアルミ材を切って穴開けて.....の金属加工。後部を持ち上げるためのフレームも、実際のウエストファリア キャンパーの部品を参考にしています。独特な形の関節部分はステンレスで3Dプリント。なんと、アルミや真鍮だって3Dプリントできる時代なのです。

実際と同じ仕組みで開閉機構が組めました。持ち上げたルーフの天井には、レトロな見た目の世界地図を貼ろうと決めています。妄想力で突き進んでいますが、果たしてどうなることか。

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