STORY

Der FREIRAUM デア フライラウム “自由な余白” #02

そして、確信に変わる。

横川 謙司 フォルクスワーゲン・ゴルフ 2022.05.24

1/20スケールの模型を作って検証

VWゴルフマニアの著者による、幻のゴルフキャンピングカー”ビショフベルガー”を独力で造り上げる過程を紹介する連載の2回目です。

Golf CaddyをベースにしたWohnmobile (独・ヴォーンモービル/キャンピングカー)。

VWゴルフ好き、キャンプ旅好きの私を一瞬でトリコにしたこのクルマですが、初代ゴルフベースということで、実物は小さく狭く、長旅には向かないんじゃないか? 手に入れても、実用性ないんじゃないか? という考えも頭をよぎり、実際の使い勝手を検証しようと1/20模型の製作を開始しました。

自動車のプラモデルは1/24が一般的ですが、手元に1/20 ゴルフ1のキットがあったことと、少しでも大きい方が内装の作り込みも愉しめるな、ということで、このスケールに決定。

キャンパーシェル部分は、なにせ実物の情報がほぼないので、やっと集めた写真から勘で三面図を起こし、CADでモデリングします。ベース車のボディと一体になっている部分がチャームポイントなのですが、ボディに沿ってカーブしながら、なおかつバンクベッドの部分へ綺麗なRでつながる造形がなかなか解明できず、紙工作などで形状を確かめながらモデリングしていきました。

表面の平滑性を求めてアクリル素材で3Dプリント。キットのパーツ自体から自作できるなんて、いい時代になったものです。パーツが揃ったところでゴルフのプラモデルをBピラー後端で切断しました。CaddyはオリジナルのGolfよりもホイールベースが長いので、シャシーも新造します。

このキャンパーは、ポップアップルーフがポイント。走行時に全高を低くできるのは空力的にも有利でしょうか。このポップアップヒンジもステンレス板から自作します。どんな構造なのかわからなかったので実物を観察、試作を繰り返してなんとか思ったような角度で動作するヒンジができました。

ボディがあらかた出来てきたところで採寸し、20倍してみると、全長は5mちょっと、室内の高さは2m以上確保できることがわかりました。ベッドの幅や、シンク、テーブルなど、小ぶりではありますが、実用性も問題なさそう。ポップアップ部分の幌を縫うために、ついには小学生の時の家庭科の授業以来ではないかと思われるミシンまで動員、ミニチュアのクッションや冷蔵庫の中身などチマチマ作り、模型制作はいよいよ終盤へ。

ポップアップルーフの天井には、世界地図をあしらおう。
座席からベッドへの変形はどういう仕組みがいいんだろう。
もう、頭の中では完全にこのクルマで旅に出ています。

完成したミニチュアキャンパーを実景の中で撮影していると、淡かった憧憬は確信に変わるのでした。

「ああ、これは、間違いなく実車が欲しい。」

どうしたらこのクルマを手に入れられるか。模型作りによる検証を通り越し、再び世界の中古車サイトを巡る旅が始まるのでした。

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